RECOVER - 損傷を受けたディスク上の読み取り可能なファイルを回復

《機能の説明》

　物理的トラブル(磁性体の劣化など)によって正常に読み取ることができなくなった欠陥セクター内から、復旧可能なファイルを可能な限り回復して、ルート・ディレクトリ上に保存します。

　たとえば、SAMPLE.TXTという大きなデータファイルが複数のセクターにまたがって保存されていて、そのうち３番目のセクターが損傷を受けていたとします。このような場合、一般のアプリケーション等でこのファイルを読もうとすると、欠陥セクターのところで読み出しが停止してしまい、そのファイルを利用することが不可能になってしまいます。
　RECOVERはこのような状況で、「破損していない部分だけを集め、アプリケーションで利用できる状態に戻したい」「破損が生じているセクターに印をつけ、アプリケーションがデータ保存に使用しないようにしたい」といった用途に役立ちます。

　また、データファイルではなく、ルートディレクトリの領域が破損した場合、最悪、そのドライブに登録されていたすべて(または一部)のファイルが読み書き不能になってしまいます。
　このような場合に、RECOVERは、そのドライブのディレクトリ情報を再構成する機能を持っています。

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《書式》

RECOVER [ドライブ:][パス\]ファイル名

　ルートディレクトリが破損してまったく使えなくなった場合に、ディスク上のすべてのファイルを回復するときは次のように入力します。この書式は非常に影響が大きいため、十分に作用を理解した上で利用してください。

RECOVER ドライブ:

《スイッチ／パラメーター》

[ドライブ:][パス\]ファイル名

回復したいファイルの名前を指定します。ワイルドカードは指定できません。

ドライブ:

あるドライブ上のすべてのファイルを回復したい場合に、そのドライブ名を指定します。ルートディレクトリが損傷し、たとえばDIRコマンド等もまったく使えなくなっている場合に指定します。

《解説》

• ファイルを回復するとき、欠陥セクター上のデータはすべて失われます。
  　たとえば下図のように７つのセクターにまたがって記録されているDATA.TXTのうち、■の部分がディスク表面の損傷によって読み出せなくなっていたとします。
  
  　DATA.TXT □□■□□■□
  
  　RECOVERをこのようなファイルに対して実行すると、下図のように、読み出し可能なセクター上のデータだけがつなぎあわされ、そのぶんだけサイズが小さくなったファイルが作成されます。■の部分に保存されていたデータは失われます。
  
  　DATA.TXT □□□□□
  
  　したがって、RECOVERによるファイルの回復が実際に有効なのは、対象がテキストファイルである場合にほぼ限られます。
  　テキストファイルであれば、欠落部分はユーザーがエディタ等で確認しながらある程度埋めたり、つなぎあわせたりすることができますが、たとえばRECOVERによって中間が欠落した状態で再生されたプログラムファイルは、実行すれば非常に高い確率で暴走することとなりますので、十分注意してください。
  
  
• RECOVER ドライブ: の書式でディスク全体を対象としてファイルを回復した場合、回復されたファイル(サブディレクトリ下のファイルを含む)はすべて、
  
  FILEnnnn.REC
  (nnnnは0001から始まる番号)
  
  　……という名前でルート・ディレクトリに置かれます。
  　ただし、一度にルート・ディレクトリに登録できるファイル数には制限があります。
  　このため、たとえば512のファイルしかルート・ディレクトリに登録することができないドライブ上に600のファイルが保存されていた状況で RECOVER ドライブ: を実行すると、100近いファイルが永久に復旧不能となります。
  　このような事態を避けるため、できるだけファイルは１つずつ回復するようにしてください。
  
  
• RECOVERは欠陥セクターを発見し、そのセクターに印をつけて２度と使用されないようにする機能を持っていますが、その対象は「既存のファイルのデータによって使用されている領域」に限られ、ディスクの空き領域をあらかじめチェックする機能を基本的には持っていません。
  　ただし、ユーザー側で次のような工夫をすることによって、トラブル予防のためのチェックに使うことも可能です。
  
  ・ディスク全体を占有するような、ダミーの巨大ファイルを作成する。
  ・そのダミーのファイルに対してRECOVERをかける。
  
  　6.X以降のDOS/Windowsでは、ディスクの未使用領域の状態を事前にチェックすることができるSCANDISKコマンドが付属しています。
  

《アクセス不能のディスク上のデータ復旧をやってくれるサービスについて》

　RECOVERは、当然ながら「ディスクそのものにはアクセスできる状態」が前提です。
　「ディスクがもはや回転しない」「Windowsのシステムがまったく認識してくれない」などのレベルで「読み書き不能状態」に陥っったディスクドライブに関しては、当然ながらRECOVERのようなコマンドは意味がありません。

　半面、どれだけ深刻なトラブルであっても、「すべてのデータが完全に消滅してしまった」とは限らない＝ただ読めないだけであって、ディスク上には無傷で記録が残っている部分のほうがたいていは多い＝というのもまた事実ではあります。
　このあたりになると個々のユーザーが自力でデータを救い出すことは困難ですが、そういった状態のディスクから、大事なデータを別のディスクに（できるだけ）複写・復旧してくれるようなサービスも業として存在しています。
　

・会社の数年分の帳簿データが全部入っていた。
・撮りためてあったデジカメの画像をまるごと全部失ってしまった。

　……などなど、お金にかえがたい重要なデータが失われた場合などは、問い合わせてみると意外にカンタンに（むろんそれなりのお金はかかりますが）データを回復できる余地はあります。
　というわけで以下、この種のサービス提供サイトをいくつかリストしておきます。

・オーインクメディア株式会社「データSOS」　http://www.data-sos.com/
・株式会社データ復旧センター http://www.drivedata.jp/
・有限会社共進パーツ [データクラッシュ復活センター] http://www.data-crash.com/
・データトラブル受付対応センター http://www.ino-inc.com/

《関連コマンド》

DOSVCMD! RECOVER!